前回「405を降りる (2013年)」から続く。
PEUGEOT 405 SRI-EX BREAK(以下405と記す)の今後について逡巡していた2013年初夏のある日、馴染みのプジョーディーラーから一通のDMが届いた。そこには、どこか見覚えのあるイラストが描かれていた。30年近い時を超えてきたかのような絵柄は、江口寿史氏のそれとすぐにわかるものだった。
およそ30年前に登場した205GTiの伝説を、新たに登場する208GTiに重ね合わせ、その時代の隔たりを繋ぐ象徴として江口寿史氏のイラストを用いるプロモーションである。はたして、その手法がどれだけの好評を得たのかは定かではないが、205GTiというクルマは、私にとっても昔から強く惹かれる対象だったから、それが引き合いに出されることで、208GTiへの興味が多少は強化されたかもしれない。

前年、208が登場した時には、まだ405を降りる気などさらさら無かったから、実をいうとあまり興味が湧かなかった。ただ、208GTiが登場したことで、208への興味、さらには他のクルマへの関心が高まっていった。「もし405を降りるとしたら、何を選ぶか」そんなクルマ好きにありがちな妄想は、常々抱いてはいたものの(笑)、ここにきて、少しずつ現実味のあるシミュレーションへと発展していった。
調べてみると、208は前モデル207よりも、若干のサイズ縮小と軽量化が施されており、私には好ましい変化と感じられた。また、フランス車っぽい味わい、一つには俗にいう猫足も僅かながら取り戻しつつあるとの記述もあった。「悪くないかもしれないなぁ」そう思っている内に、もし405を降りることが既定路線だとしても構わない、という認識に達していることを自覚した。そこには決断というよりは、自分のことなのにまるでそこへ導かれたかのように与えられた結論があった。これがプロモーションの力なのだろうか(笑)
さて、では「208に乗ろう」と決めたので、「405を降りよう」となったのかというと、これもまた少し違う。正確には「208を含め、何か別のクルマに乗り換えることを受け入れられるようになったので、405を降りることへの抵抗が無くなっていった」というニュアンスである。
元々、なぜ405を降りる気が無かったかといえば、それが気に入っていたからだけではなく、乗り換えたいクルマが無い、ということに尽きていた。あったとしても405と同世代以前など、もっと厄介な車種だったりした。私の周りはそんな感じで「最近のクルマで欲しくなるもの無いんだよねぇ」というのが今でも合言葉だったりする。しかし、ここにきて208を始めとする新世代のクルマへの興味が湧いてきたので、405とのサヨナラを受け入れたという経緯になる。もちろん、前記事で書いた405の状態維持の困難さを予感したことも、大きな理由であることは間違いない。
さて、では208も含めてどのような乗り換え候補があるだろうか。これまた、ありがちな妄想が展開されていくのであった。