以前の投稿「初めてのシトロエンは」の続き
1975年。土曜の夜はTBSだった。午後7時から「まんが日本昔ばなし」「クイズダービー」「8時だョ!全員集合」の3連発。そして午後9時から始まるのが「Gメン’75」。オープニング。あのテーマ曲。「ハードボイルド Gメン’75 熱い心を強い意志で包んだ人間たち」芥川隆行氏の名調子。後世まで語り継がれるタイトルバック。


その第4話「殺し屋刑事」である。後に立花警部補としてメンバーに加わる若林豪が、この話では紅林刑事として単発で登場する。ストーリーについては割愛するが、ここで登場する銀行強盗一味が使用するクルマがシトロエン GSなのである。銀行襲撃に先立ってクルマを盗むシーンがあるのだが、よりによって、こんな特徴的なクルマを選ぶのである。国産車なんかで強盗ができるか、という美学を感じさせる。


定番、地下射撃練習場での取り調べシーン。事情を知ると疑われる男を問い詰める。
紅林刑事(若林豪)「もう一度訊く。緑色のシトロエンを見たのか?」。セリフにも登場するシトロエン。

しかし、Gメンの取り調べは非情というか非合法だ(笑)
草野刑事(倉田保昭)「ここでは黙秘権は通用しないぞ」
紅林刑事(若林豪)「容疑者が逃げようとしたら射殺していいことになっている」
当時はシトロエンなるものを明確に理解できていたわけではないが、振り返ってみれば、これが私にとって初めてシトロエンというものを目にし、シトロエンという言葉を耳にした時ではないか、と思っている。
このGSや後のGSAは個人的にはかなり好みで、こういうクルマを(趣味としてではなく)普段使いできるものなら最高である。CXも名車だが、いささか大きすぎるもので。
ちなみに初期のGメン’75では、やはり原田大二郎演じる関屋警部補の殉職シーンがインパクト大であった。ちょうど正月頃の放送だったと思うが、子供ながらに正月気分も吹っ飛ぶ思いをしたものである。まあ、昔の刑事ドラマは次から次へと殉職していたものだが。

もう一つ、Gメン’75にはクルマ好きにとって触れるべき登場人物がいた。小田切警視役で出演していた夏木陽介氏(故人)である。数多くのクルマを乗り継ぎ、ダカール・ラリーにも参戦するなど、クルマ好きとして知られる人物であった。
私は幼いながら、当時の夏木陽介氏(39歳くらいか)をカッコイイ大人な男のロールモデルとして眺めていたところがある。今では当時の氏の年齢をすっかり上回ってしまったけれど、まったく敵わない存在である。